朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


絆はぼろぼろ泣いた顔で俺を見上げた。涙を拭う。


『絆。……一人で泣かないで。怖くなったら、泣きついていいから。何だったら抱き付いてくれていいから。絆が立てるまで、待ってるから』
 

がく。膝ではなく絆の肩が落ちた。


『……なんであんたはそう残念なの。カッコ決まらないわね、ほんと』
 

……何故か俺はよく、絆やふゆに残念、と言われる。


りゅうのがじゃない? と言うと、「どっちもどっち」と返される。


……りゅうほどフラフラしてはいないつもりなんだけど……そう言うと、死んだ目で見られる。


『……ま、いいわ。あんたがカッコいいのは、あたしが一番知ってる』
 

誰よりも深く命を考えているのも。絆は小さくそう言った。


……俺は、人を殺す予定で生きていた。

< 218 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop