朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
絆はぼろぼろ泣いた顔で俺を見上げた。涙を拭う。
『絆。……一人で泣かないで。怖くなったら、泣きついていいから。何だったら抱き付いてくれていいから。絆が立てるまで、待ってるから』
がく。膝ではなく絆の肩が落ちた。
『……なんであんたはそう残念なの。カッコ決まらないわね、ほんと』
……何故か俺はよく、絆やふゆに残念、と言われる。
りゅうのがじゃない? と言うと、「どっちもどっち」と返される。
……りゅうほどフラフラしてはいないつもりなんだけど……そう言うと、死んだ目で見られる。
『……ま、いいわ。あんたがカッコいいのは、あたしが一番知ってる』
誰よりも深く命を考えているのも。絆は小さくそう言った。
……俺は、人を殺す予定で生きていた。