朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


……なんだかんだ、絆とは高校で逢ってから腐れ縁で繋がっていて、鬼ごっこの途中とかにつらつらと色んな話をした。


それ以上に喧嘩ばっかりだったけど。


最初の頃は止めるのに必死だったりゅうとふゆも、今では傍観者を決め込んでいるくらいに。
 

俺が父の自殺を明かした時、絆は「……それがあんたが警察に関わる理由だったの?」そんなことを訊いた。


「うーん。そうでもないんだけど。なんてゆーか、父親に関しては、俺が殺すより先に自分でおっ死んじまったなー、くらいしか思わねえんだわ」。
 

俺は、父親を殺す予定だった。
 

憎しみや恨みではなく、ただそれが俺の人生に組み込まれていたように、そう考えていた。


だから、こちら側へ来た。


自制の意味も作るため。


『……それでもね、すきなのよ』
 

一度抜いていた刃をおさめられたくらいの、強い意志の持ち主。絆はそんな風に言ってくれたことがある。


『……強くならないと、だめね。誰かをすきになるのに力はいらない。でも、すきだと言うのには強くないと駄目。あなたを支えていくからね。あたしに寄りかかっていいのよ? 

だから……ずっと手を繋いで、あたしを見ていてね? ……あなたの世界の、半分だけあたしにちょうだい?』

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