朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「……佳い人だね」
「このボケガキに惚れてくれる子だ。奇特だ。大事にしろよ」
「……うん」
絆が強いから、俺を受け容れてくれた。
大きく腕を広げて待っていてくれる。いつでもここで休んでいいから、と。
……泣きじゃくりながら。
本当は、知っている。
俺がいる世界を怖がっていることを。
目を逸らしたくて、こんなところ離れてしまいたいと思っていることも。
もし絆が好いたのが俺でなかったら、絆はもっと平穏に、安全な場所での恋が出来ていたはずだ。
なのに、俺が――たぶん俺のが先に絆を好きになって、突進する勢いで告白しまくっていたから、それに無理矢理引かれて俺に好意を持つようになったかもしれない。
……なんて言ったら大気圏外までぶっ飛ばされるけど。大体三人くらいに。
……最近そこに、女の子のくせに女の人大すきで、女性のことになると簡単にネジ四、五本ぶっ飛ぶ幼馴染の恋人が加わりそうで怖い。