朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
知っている。りゅうもふゆも。
どれだけ自分たち――俺が常識外れのことをしても、絆だけは俺を奇異の瞳で見たり離れたりしなかった。
だからりゅうもふゆも、絆を俺の特別な位置に見ている。
絆が向けてくれる愛情を偽りや作り物だなんて思わない。
でも、絆が好きになったのが俺じゃなかったら、彼女を安全にしていられたのに、とは、ずっと思う。
……それを見越してか悟ってか――絆はきっと、りゅうやふゆのように考えてではなく本能的に、の部類だろう――この世界にいることを辞めたら離婚、と言って来た。
……強すぎるよ、お嫁さん。
わかっている。俺はもう後戻りが赦されないくらい深く世界に関わっている。
りゅうも、ふゆも。
……だからりゅうは恋人に、こちら側へ関わることをよしとしていない。
自分たちに護られているだけならまだしも、闘う側になったら、絆は俺を、咲桜ちゃんはりゅうを護る側にもなってしまう。
そんなことさせたくないと思っている。
――絆は突っ込んできたけど。
それも俺の力になるためにと、法律の世界に。