朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


知っている。りゅうもふゆも。


どれだけ自分たち――俺が常識外れのことをしても、絆だけは俺を奇異の瞳で見たり離れたりしなかった。


だからりゅうもふゆも、絆を俺の特別な位置に見ている。
 

絆が向けてくれる愛情を偽りや作り物だなんて思わない。


でも、絆が好きになったのが俺じゃなかったら、彼女を安全にしていられたのに、とは、ずっと思う。


……それを見越してか悟ってか――絆はきっと、りゅうやふゆのように考えてではなく本能的に、の部類だろう――この世界にいることを辞めたら離婚、と言って来た。


……強すぎるよ、お嫁さん。


わかっている。俺はもう後戻りが赦されないくらい深く世界に関わっている。


りゅうも、ふゆも。


……だからりゅうは恋人に、こちら側へ関わることをよしとしていない。
 

自分たちに護られているだけならまだしも、闘う側になったら、絆は俺を、咲桜ちゃんはりゅうを護る側にもなってしまう。


そんなことさせたくないと思っている。


――絆は突っ込んできたけど。


それも俺の力になるためにと、法律の世界に。

< 221 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop