朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
……二人は、愛した人が心の真ん中にいる。
とうに亡くしていても、その場所は譲らない。
愛した人を間違えない。愛すべき人を、間違えない。
自分の感情を、正しく自分のものとしておく。それが意志の強さ。
「諏訪山さんなら上手く降渡くんを操作しそうだよねえ」
「尻に敷かれるのは明白だな。負けてろ」
「負けるな、じゃないんですか⁉」
それって励まし⁉ ツッコむと、龍さんは素知らぬ顔をする。
「おめーみたいなヌケサクは諏訪山の娘ちゃんみてーな思考の強い子に押さえつけられててトントンだ。周りの被害が少なくなるからちょーどいい重石だよ」
「絆を何だと思ってんですか⁉ そもそも俺って人間扱いされてます⁉」
周りの被害って俺何したっけ⁉
「さーてなー」
「相性がいいと、いいねえ」
「反対されるより辛いかもしれないんで俺もう行きます!」