朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「ね、遙音くんのお誕生日も、お祝いさせてね?」
「え? えーと……」
すぐに、楽しみにしてる、とは返せなかった。
誕生日……かあ。俺がはっきりしないでいると、笑満ちゃんは少し俯いた。
「今年、すぐに、じゃなくてもいいの。……何年か先でも、もし、その日に一緒にいてもいいって思ってくれたら、お祝いさせてほしい。ケーキ作るのは得意だから!」
食事系の料理は壊滅的だけどね、と笑満ちゃんは笑った。
「……うん」
曖昧な返事しか、出来なかった。
笑満ちゃんはそれに怒らなかった。責めもしなかった。
……俺が生きて来た道を、知っているからだろうか。
これ以上この空気は嫌だなあ。せっかく笑満ちゃんと二人でいる――あ、……んー、と、話しておこう。かな。