朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「高潔かどうかはわかんないけど、単にあいつらの育ての親の一人が二宮さんだからだよ。あの二宮龍生だよ? もし学生の身分で女の子妊娠なんてさせたら三秒後には六文握って三途の川の入り口だよ」
「……イメージわきます」
「だろ? そんな人の育て方に、俺も少しながら影響ありだからさ――、今だけの付き合いじゃ、嫌なんだ。笑満ちゃんのこと、大事にさせて。ずっと」
笑満ちゃんが膝の上で握っていた手を、包み込む。
ずっと? それは、あのときみたいに離れることはないって、思っていいの?
……笑満ちゃんの瞳は、揺れている。
「もう、勝手にいなくならないから」
「―――」
いなくならない。笑満ちゃんのところから、絶対。
「……はい。ずっと、傍にいたいです」