朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「子どもの頃、町の夏祭りに夜々さんと一緒に行ったんだ。そのとき、もうお酒入ってるおじさんたちが神楽やってて、私思いっきり頭噛まれたの」
「ああ、子どもに噛み付くと丈夫になるとか言うよな。それが嫌な思い出なのか?」
「ううん。その後。私びっくりしちゃってびーびー泣いちゃって、夜々さんが抱っこしてくれたんだけどね、……何がどうしてそうなったのか、酔っ払いおじさんが、別の酔っぱらったおじさんに抱き付いてちゅーしてたの」
「…………」
………え? 流夜くんが首を傾げる。
「ええ、と?」
流夜くん、困ってしまった。
「人生で初めて見るラブシーンが酔っ払いたちの戯言でショックでした。なんかもっと綺麗な感じのがよかった」
「………」
取りあえず子ども心に傷を負った出来事だった。