朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「ああ。すごいな、ほんと器用だな、咲桜」
「盛り付けだけは料理で慣れてるから。ナイフ借りるね?」
「持ってくる。危ないから座ってろ」
「床に包丁突き立てる人に任せる方が危ないよ」
「……」
そう言うと、流夜くんは二秒固まった。それからゆっくり口を開いた。
「……わかった。料理、出来るようになる」
「………流夜くんが?」
「咲桜が教えてくれないか?」
「え――と。……流夜くんに教えるの?」
「咲桜が嫌じゃなければ」
「………」
答えないでいると、流夜くんが覗き込むように見て来た。
「……もしかして嫌な方だったか?」