朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「?? 流夜くん?」
「………」
違うんだ、咲桜。
あいつは間違っているとかいないとかではなくて、存在前提がとち狂っているんだ。
本来ならいないはずなんだ。
だからこそ主咲の傍に在れるのだけど。
怒るとか怒らないではなくて、歯止めをかけておかないといけないんだ。
怒って怒鳴って摘まみ上げて軌道修正しないと、あれはまだまだガキ過ぎるんだ。
「…………」
十秒かけて空気を吸い込んだ。
「……頼む」
「うん、わかった」
その一言以外に、バカで考えの直線過ぎるアホな弟を託せる言葉はなかった。
咲桜を、自分たちの側へ来させようとは思わない。
だから、現場ではなく、現実で、弟を見ている人がいたら。
……それが咲桜なら、何も案ずることなく自分は別の方を見ていられる。咲桜ならば、託せる。
「お前は……」