朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「お誕生日、おめでとう、流夜くん。大すきだよ」
俺の肩に手を載せて、もう一度、咲桜はプレゼントくれた。
俺の好きな、華のような笑みと一緒に。
「……ありがとう、咲桜」
咲桜の大事な名前を、呼んだ。
ぐっすり、寝てしまった。
むしろぐーすか寝ている咲桜だ。
左腕に両腕を巻き付けている咲桜を見て、笑ってしまった。
最初のときと全く同じ光景だ。
頬にかかる髪を払ってやる。
絹のような黒髪。柔らかくて、触るのもすきだ。
「けどなあ……」
思わずぼやいてしまう。
在義さんからの脅しがあったとはいえ、半ば流れに任せる気もあった。
咲桜のヘンな解釈も聞いてこうなることはわかっていたけど。
「この状況で、よく」
安心して眠っている。
自分も咲桜に手を出さないでいられる。