朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
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side琉奏
「宮司くん――すまなかったね、急な依頼をして」
「いえ、こちらこそ夜中にお呼び立てしてすみません。……お娘さんは、大丈夫ですか?」
「……流夜くんのところだ」
華取さんは瞼を伏せる。少し驚いた。あの華取在義が?
「……結構寛容なんですね。娘の夜歩きを認めるなんて」
「咲桜の決断を邪魔しない信条を持っているからね」
華取さんは自嘲気味に笑った。
……娘の、決断。その言葉を心の中で繰り返した。
「――では、これを」
封筒を差し出す。
華取さんは机に乗ったそれにすぐには手を出さず、また一度、瞼を下ろした。
「……しかし君がよく流夜くんの検体を持っていたね。衝突しているところしか知らなかったから驚いたよ」