朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「笑満、そろそろ手ぇ離したら? 意味なしだし咲桜茹だりそうだし」


「え? わあっ! ごめん!」
 

真赤になった私が「あはは」と乾いた笑いを浮かべて、手で自分を扇ぐ。


顔というか全身が熱い。


ほんとさらっと言うから困るよ。


二人の時ならまだしも、笑満や頼がいる前で。


「遙音先輩、どうしたんだろ?」
 

私は話題を変えようとばかりに二人が出て行ったドアの方を見遣る。


「見てこよ――


「放っておいてやれ。遙音が宮寺にコンプレックスあるのは見てのとおりだ」


『………』
 

三人は顔を見合わせた。


先輩が宮寺先生にコンプレックス?


……むしろ流夜くんに抱えているように見えるけど?

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