朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
黙った。
俺が頼んだのは、遺伝子学実験の一環で、この傑出した三人のDNAを調べてみたいから検体を提供してくれないか、というものだ。
ノリのよい春芽と雲居は簡単に肯いてくれたが、普段仲があまりよろしくない神宮は、二人の説得は不可欠だろうと頼みに来た。
そしたら俺は爆弾爆発させてしまったらしい。
雲居がブツブツ言っている。
あまりにもその言い方はない。うわー、りゅうがあんな怯えたカオしてるの初めて見たし。……こいつ、大物になるな。
「吹雪、何あいつ。気持ち悪い」
「うーん……今のはさすがに僕もいやだなあ……」
春芽までも顔を歪めている。仕切り直し。
「神宮、遺伝子研究に使いたいから手ぇ切ってくれ」
「自殺強要じゃねえか」
手を切れってどんな要求だよ。雲居が今度は額を押さえた。