朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


『相棒』、が雲居や春芽ではないとこまでは突き止めた。


けど、その先は全然だった。


神宮にいたっては「そんなものいるのか?」と、自分のことなのに疑問符で返して来た。


「ま、反応からして、あいつまだ華取さんのこと話してないみたいだな」


「相棒にか?」
 

顔をあげた。


「たぶんな。俺、心理学とかは専門じゃないから断言は出来ないけど」
 

じゃー戻るわ。


宮寺は言って、そのまま階段を降りて行った。俺はその背を睨む。
 

犯罪学者・神宮流夜の相棒――俺も正体を知らない存在が、神宮のごく近くに、いる。
 

二人が組めばお宮入りなしと評されたというモノたち。
 

咲桜は? あいつが初めて堂々と恋人と呼ぶ『彼女』は、それを知っているのだろうか―――。


「……その前に俺に知らせろ」
 

密かに神宮に毒づいてみる。
 

うしなった日から追い続けている背中。


まだ指先が触れもしない彼方。

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