朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「ん。そんな遠くじゃない。けど歩ける距離ではないな。……別に変装とかしなくていいからな? ちょっと特殊な場所だから」
「特殊?」
な場所ってどんなだ?
「そう。あとは当日の楽しみにしておけ。――話変わるけど、咲桜は天龍に行きたいとか、思うか?」
ドキッと、心臓が跳ねた。
「えー、と……」
カタン、と箸と茶碗を置く。
なんだか居住まいを正して話すべきことの気がして。
「流夜くんが育ったところ、は見てみたい。んだけど、……在義父さんを、その……追い出したところ? って言うのは、なんかあんまりやだ」
そこまで言ってはっと手を振った。
「あ、やだって言っても絶対行きたくないってわけではなく! なんかこう、心の準備が必要っていう感じで! 私その辺りまだまだで――」
「わかった。じゃ、結婚したら行くのはどうだ?」