朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「あの! ごめんなさい、流――」
「し。中で話そう」
流夜くんが自分の口元に指を立てたので、私は黙ってこくこく肯いた。
助手席に滑り込み、顔の前で手を合わせた。
「ごめんなさい、私が勝手に入っちゃったから何かまた――
流夜くんは軽く笑いながら応える。
「気にすんな。俺と関わってりゃ、降渡にくっついてくる絆にも逢わないわけにはいかなかったしな。誤解してくれたみたいだから言うけど、絆には婚約とそれに関することは言わない方がいい」
「……うん」
やっぱり反対される可能性があるから……意気消沈気味に肯くと、流夜くんの手が私の膝の上の拳を握った。
「たぶん、絆は反対も賛成もしない。ただ、自分の立場から考えた行動をするんじゃないかと思う」
「立場?」