朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「………」
「咲桜も気になるのか?」
「一応」
「訊いてみりゃいんじゃないか? あいつ、何でか咲桜にはべた甘だし」
「………」
流夜くんが嘘――と確定する論拠はないけど、いる証拠もいない証拠も、私が提示出来ない物事――をついたと言うのは悔しかった。
「……あることの証明は出来るけど、ないことの証明は出来ないって言いますよね」
「ああ? まあな」
先輩は釈然としない様子で返す。
――流夜くんは、証明出来ないことを言った。