朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「さっき、絆さん言ってたけど――」
「ん?」
「……私が卒業したら、ほんとに攫ってくださいね?」
「―――」
流夜くんが固まって、三秒後ハンドルに額を押し付けた。
「……なんでこんななんだ……」
「え、まずかった? まさか盗聴器でもあるっ?」
「いや、そういうんじゃなくて。………。――んじゃ、今から攫われる覚悟、しときなさい」
「はい」
大きく肯くと、流夜くんは口を歪めて私の髪を撫でた。