朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
3 まず爆発させないから。
side咲桜
両手を握り合わせながら、その瞬間を待っていた。
目の前にはカウンターの奥の龍生さん。
私の隣には笑満。笑満も真剣な顔で龍生さんの手元を見ている。
龍生さんは、お皿の上からスプーンを口元に運ぶ。
「――――」
私の緊張はピークだ。
「お、うめえじゃねえか」
「「ほんとですか⁉」」
私も笑満も身を乗り出していた。
後ろのデスク席にいる頼からパシャリと音がした。
「笑満くらいは美味いって信じてやれよー」
ぼやいた頼に、笑満はキッと振り返る。
「あんた咲桜のお菓子スキルのなさをなめないでよ!」
「笑満、非道いよー」
「いや、真実だよ」
認めたのは私だった。