ひだまり
その日は朝からイライラしていた。

………というのも、今朝の当番が梓先生だからだ。

昨日からの雨で、交通渋滞をしてる。

雨の中小さい子どもを連れて、いつ来るか分からない園バスを待つのは

とても大変だ。

少しでも早くでて、遅れを少なくしたいのに……

いつもギリギリか遅刻をする梓先生では……絶望的だ。

何気なく、事務所に目を向けると……

誰よりも早く来た唯先生が…電話応対してる姿が見えた。

もう1つのイライラ。

それが彼女の存在。

まだまだ慣れない彼女は…遅くまで仕事を頑張っている。

それなのに…朝は誰よりも早く来て

遅くなった先生の当番を変わったり、電話番をしている。

食の細い彼女は…決して強くないのに…

一生懸命頑張っているのだ。

頑張ることは良いことだ。

でも、人の仕事まで頑張って倒れたのでは…意味がない。

一番困るのは……やっと慣れた年少の子供たちだ。

注意をしたいが……

最近……どうしたのか急に笑顔を見せて『おはようございます』と

挨拶してくれるようになった。

オレも……慣れ始めたネコに…

『おはようございます』ではなく『おはよう!』と返せるようになって

喜びを感じてた。

そんな関係が…

頑張っている彼女に…無理をするなと注意するのを……

ためらわせる。
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