ひだまり
鬱陶しい梅雨があけて

いよいよ夏本番間近の7月。

幼稚園は親子遠足が行われる。

他の園に比べずいぶん遅い遠足だが…

子供も保護者も教師も……みんなが慣れたこの時期の方が

楽しめるだろうという配慮だ。

ただし、暑さ対策や慣れたために起こる事故に

気を配らないといけないので……

春の遠足以上に大変になる。

新人5人は…5月くらいに説明を受けて……ゲームや安全対策。

保護者の関わりや教師としての心づもりなど

事細かに注意すべきことを、頭に叩き込まれた。

今年は、新人の方が指導者より多いため

マンツーマンで教えることができない。

その分自分達で考えて行動しないといけず……5人にとっては

初めてぶつかった大きな壁である。

時間をかけて、なるべく一人一人見てきたが……

気づくと……

元々細い体が……ひとまわり小さくなってしまった彼女がいた。

「先生、食べないと倒れるよ。」

「顔色が良くないよ。」

「眠れてる?」と声をかけるが

『大丈夫です。』と笑顔を見せられると……それ以上は食い込めない。

四人や主任も心配して見守るも……

言えばいうほど周りに迷惑をかけてはいけないと…

頑張ってしまうので………どうしようもない。
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