ひだまり
「唯先生~。直ぐに助けてあげるねぇ~」

沢山の声援を受けてオレのもとに歩いてくる。

ホントに人気者だよなぁ~

隣に立つ彼女に

「はい。手を繋ぐよ!」と手を出すと

ぱっちりおめめがもっと見開いて……固まった。

やっぱり。

多分、彼女はオレ……というより男が苦手。

お母さんたちとは自然だが

お父さん達だと今のように固まってしまう。

近づける距離が、他の子よりも遠い。

『繋いだふりする?』って聞こうと思ったら………

そこはプロ!

あきらめた顔をしたと思ったら…

サッと手を繋いだ。

ただし、指先まで力が入っているが………。

可哀想なくらい緊張しているが…オレにとっては最高の時間。

肩にも届かない小さい体が……とても愛しく思える。

ちょっとしたデート気分を味わっていたのに………

気づくと…後1メートルに迫った梓先生。

ちぇっ!

残念な思いが顔に出たのか………

「唯ちゃんごめ~ん!!」

オレをニッコリ見た後………

彼女と"次の子"の間で手を切った。

「えっ??えっ!?」

戸惑う彼女に笑いながら

「唯先生~逃げないとぉ。」

「捕まっちゃうよ~」と子供たちの可愛い声が響く。

捕まっちゃうって言うか………捕まったままだけどね!!

このままオレに捕まってくれると良いんだけどなぁ~

バカなことを想像しながら…

「もう~。先生、逃げないと。どんくさいなぁ~
はい、タッチ!!」って頭をポンッと叩いた。

ホントにデート気分だよ。

一人納得のいかない彼女は、ブツブツ言ってたけど…

楽しい時間を過ごすことができた。

………今日は、梓先生に感謝だなぁ~

今度何かおごってやろう!
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