ひだまり
「先生達、お疲れさん!」

「今日はありがとうございました。子供たちに良い思い出が出来ました。」

「良い思い出が出たのは、先生の方だよねぇ~」

梓先生のからかいに苦笑いしか出てこない。

「梓先生、そんな口をきいたらダメだよう。」

彼女が鈍くて助かるよ。

「そういえば、今日の思い出にカニを捕まえたんだけど…
お部屋で飼わない?」

「イエイエ結構です!」

速答で断るのは、梓先生。

生き物が苦手らしく、飼育当番を唯先生に代わってもらってる。

一応見て見ぬふりをしてるが…彼女達はバレてないと思ってる。

「じゃあ、唯先生は?」

「ホントにもらっても良いんですか??
子供たちも喜びます!!」

梓先生とは対照的に生き物が大好きな彼女。

夏休み前までは、クラスでダンゴムシとカタツムリを飼っていた。

『怖い~』と言いそうなのに……面白い。

「だったら大切に飼ってね」

カニを彼女に預けバスの用意を……

一度はクラスに帰った彼女が…子供たちを連れて帰ってきた。

「「「「悠先生~。カニ、ありがとうございます!!」」」」

可愛い声に

デートだ、プレゼントだと浮かれた自分を反省した。

……………彼女らしい。

今まで、何クラスも遠足に連れて行ったが……

お礼を言いに来たクラスは、初めてだ。

ホントに彼女はスゴい……………。
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