ひだまり
「あの……後で、カニの飼い方を教えてください。
せっかくもらっても、殺してしまったら…
カニにも子供たちにも…申し訳ないので………。」

ホントに、全てのものに優しいみたいだ。

「だったら、バスが終わったらバケツを持ってオレの所に来てくれる?」

同じ飼うなら長生きさせてやりたいと思う。

水も、明日からは汲み置きので大丈夫だが…

今日はないから、近くの川に取りに行った方がいい。

石や砂利も買って来るより、自然が一番だから拾って来よう。

すっかり指導者モードになっていたら…

「あれ~!デートに行くんだぁ~」

「アズにもらった写メも楽しそうだったもんね!」

「あっ…いや。」

指摘されるまで、二人で出掛ける意味を考えてなかった。

純粋に飼育のことだけ考えていた。

「よかったら、誰かついてきてもらえないかなぁ?
オレだけだと、不安だろうから。
二人で出掛ける想像すらしないで……誘っちゃって………。」

困り顔のオレに

「う~ん。
ついていっても良いんだけど……
やっぱり、先生と二人がいいと思う。
唯ちゃんにもこんな経験が必要だもん。」

「先生なら変なことしないもんね!
いきなり彼氏と二人だと、大変だから。」

「まぁ!可愛い子には………。ってことです。
それに、ここのところ……ちょっと元気がないんだよね。
聞いて答えてくれるなら、良いんだけど…
抱えちゃうから、先生と二人でドキドキしたら
少しの間でも…忘れるかなぁって思って。」

元気がない。

四人にも話さないって………

もしかして……プライベート??

彼氏の悩みとか…………

「とにかく、先生が楽しませてあげてよ!」

言いたいことをいうと自分たちの部屋に帰って行った。
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