ひだまり
岡本賢一、年少…ウサギ組。

ケンの母親は、いわゆるシングルマザー。

近くの小学校に勤めている。

三兄弟の真ん中のケンは…

児童館で兄を連れ、隣の保育園で弟を連れて……

最後にケンを迎えに来るため……いつも最後の一人になる。

今はまだ友達もいるが……17時を過ぎると急に少なくなり

半過ぎになると2・3人になる。

それからはみんなも帰る用意を始めるから……

まだ迎えの来ないケンは…一人で遊ぶことになる。

先生もおやつの食器を洗ったり、掃除をするため…ビデオを見て時間を潰す。

そんなケンを目にしたのは……ちょうど半年前の夏休み明け。

いつものように16時30分にバスを降り

明日の準備をして、掃除を終わらせて18時に駐車場に向かうと

ハウスの柵に寄りかかって…ウトウト船をこぐ子供の姿が…

部屋を覗くと、誰も居なくて……

トムとジェリーのビデオだけが流れていた。

抱き上げると…パッと目を覚まして

「下ろせ!」って…

ただ、オレは…見てしまった。

抱き上げた瞬間、オレのポロシャツの衿をギュッと掴んだことを……

淋しいよなぁ~。

それからは、掃除をサッと済ませ帰るまでケンと過ごすようになった。

始めは反抗的だったケンも

半年を迎える今は、生意気な態度を見せながらも

自分から膝に上って来るようになった。

何よりオレは…

三兄弟の真ん中で、自分の気持ちが素直に伝えられないこのチビが…

自分と重なって……大好きなのだ。
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