ひだまり
少しの沈黙の後………重い口を開いた。

「あの……多分、冗談で言われたと思うのですが…
私が…上手く受け答え出来なくて………。なので…佐藤先生は……。」

「うん。分かったから、言われた冗談を教えてくれる?」

「はい。……………………………。
この前のバスの当番の時………
『唯ちゃん、何カップ?』って聞かれて……………」

「はぁ?!」

オレの声にビクリと肩が揺れる。

「ごめん。続けて…」

「唯ちゃんって……仕事場でって思って………
ダメですよって…注意したんですけど……」

…………………『唯ちゃん』の方に引っかかってる??

イヤイヤ……違うだろう??

カップって……あのオヤジ………………。

じわじわ怒りがこみ上げてくる。

「今度は……『次の当番の時に、ブラをプレゼントするから教えて』って
言われて……。
それからは……顔を見る度に寄って来て『教えて』って笑うから。
冗談だと思うけど……恐くなって…………。」

聞いてる側から怒りが我慢できなくなってきて………

このままだと彼女を怖がらせてしまうと判断して、前を向いた。

膝の上に握った、拳に力が入る。

「オレが話をつける。」………これが精一杯だった。

これで……

彼女の『お願いします』の返事を聞いて

終わると思った。

まさか……彼女の口から

アイツを庇う言葉を聞くとは…………
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