ひだまり

ナイショ

「あの……本当にプライベートな内容ですけど……良いですか?」

彼女の話しによると……

ご両親の仲が悪く、今は家庭内別居のような状態らしい。

妹もそんな家に居ずらくて、家に帰らないことが多いとか。

それが2年近く続いていて………彼女はいつも一人で家にいると言っている…。

四人には、詳しく話していないけど…

何か家庭に事情があると、気づいてると思うと。

一人だとご飯を抜くから…

一緒に食べたり……時間の許す限り……遊んだりするらしい。

………………それでかぁ。

可笑しいって思ったんだよ。

普通、あんなに痩せたら……家族は心配するはずだよ。

不思議だったんだよなぁ~。納得。

四人が行事とかで忙しくなると、集まれないから

……一人だったんだぁ。

オレも一人暮らしだし、そんな人は沢山いるはずだ。

でも、全然違うんだろうなぁ。

不安の中の一人って…。

……………………………………………………………。

本当に守りたいと思った。

支えになりたいと……。

「ねぇ~先生?………淋しい?」

淋しくない訳がない。

「えっと……。………そうですね………。
淋しいもそうですけど…一人だと怖いのが嫌です。」

いつもより、素直な言葉。

顔を見ない分、緊張してないのもあると思うが………

多分、それほど辛いのだ。

それでも……淋しいとは認めない。

淋しさを認めたら……現実も認める事になるから。

ホントは…分かってると思う。

2年もこのままなら…………。

笑顔を守りたいなら……この不安に向き合わないと………無理だ。

彼女がせめて

『淋しい』と泣けるようにしてあげたい。




「オレじゃあ……力になれない?
先生は淋しくないって言うけど……オレには……そうは見えないんだぁ。
一人で怖くて淋しいなら……二人でいたら大丈夫な気がしない?
時々、こうやって電話したら……
怖くも淋しくもないと思うよ。」

……………………………………………。


長い沈黙。…………かなり悩んでる。

でも、それならば望みがある。

悩むのは……心が揺れてるから、助けて欲しいからだ。

もちろん、戸惑うだろう。

遠慮もするはずだ。

だったら………………強引に進めるまでだ。

彼女が答えを出す前に……オレが答えを出した。

『また明日かけるね!おやすみ。』
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