ひだまり
「先生は…彼氏がいたんだよねぇ?
彼とは……手を繋いだり、キスしたりしなかったの?」

雑談のつもりが…大きな収穫に………。




この春、またまた新人二人を迎えることに。

初めての後輩にウキウキ、ワクワクの可愛い彼女。

「先輩って呼んでくれますかね?」

期待に胸を弾ませていたのに……オレの一言でいっきにしぼんでしまった。

『一人は男らしいよ。』

彼女は…男がホントに苦手みたいだ。

「えっ………」

そう言ったまま……しばらくフリーズした。

「先生は女子校?」

「はい。
あっ、でも……友達は彼氏がいたから……
あまり関係はないのかもしれないですけど…。
男の人は……怖くて苦手です。」

「でも先生って、彼氏がいたんだよねぇ??友達のような彼氏が……。」

「はい。
一年付き合って………私は彼氏だと思っていたんですけど…
手を繋いだり、キスをしたことはなくて……
周りに言わせると、男の子の友達だと。
最後の日に……キスをされそうになった時
怖くて逃げてしまって……
彼に『唯の好きは、俺の好きとは違う』って言われて……
そのままお別れしちゃいました。」

結局なにもなく、まっサラなままの彼女は…

男だけでなく…恋にも臆病になったらしい。

好きが分からないのに恋をして、悲しい思いをさせたらいけないって。

本物の恋が分かるまで、恋愛はしないと言った………。

……………まずい。とってもまずい。

男が苦手で、おまけに本物が見つかるまで恋をしないとか言ったら…

近づくことも無理になる。

せっかく電話をする仲になったのに………

苦肉の策だが………

「でもね、恋を知らない先生が……どうやってホントの恋を見つけるの?」と

子供騙しのような言葉を伝えてみた。

純真無垢な彼女は、疑いもしないで………

「あっ!そうですね!」と

とてもスゴい発見のように、感動してくれた。

今がチャンス??

畳み掛けるように

「だったらオレが教えようか?………ホントの恋を!」と誘うと

『迷惑でないなら教えて欲しい……オレは誰よりも信じれるから』と言われた。

「う~ん…まぁ、そんなに信じてもらうと……困っちゃうけどね。」

あまりの純粋さに後ろめたさもあるものの………

二人でホントの恋を見つけることになった。
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