ひだまり
「おかえり!
カップありがとう!大切にするね。
チョコも……。
あれって……オレがもらって良かったの?」

自分で策を立てたのに………いざ、もらったら……怖じけずいてしまう。

強引にもらった、義理チョコ。

他にあげた人はいなかった??

「はい。お礼の気持ちです。」

ハッキリ言われると……なんだかなぁ~

ちょっと不満が顔をだし……

「それって、バレンタインが近かったから一緒に買ったってこと?」

人を好きになるって……難しい。

あんなに楽しみにして………

車で開けるほど、もらって喜んだのに……

今度は自分だけの特別が欲しくなる。

子供のようなワガママに、自分で自分に呆れていたら……

「あの……チョコレートは、義理とか……雑な気持ちでは贈ってないです。
先生にしか買ってません。
本当に感謝の気持ちで……………」

えっ!オレだけ??ホントに??

彼女が自分の気持ちを、一生懸命伝えようとしてくれている。

いいかげんではない……心からの感謝だと。

日々……オレのおくる優しさに……感謝し……嬉しく思っているのだと。

多分四人に、カップとチョコを買ったことを話したんだろう……。

きっと……今日の帰りが遅かったのも……そのせいなんだと思う。

彼女が好きなオレに気遣って、四人が何かアドバイスをしたんだろう。

オレの気持ちを知らない彼女は………

色々言われて………困ってるんだと思う。

「先生、難しく考えなくて良いんだよ。
……………贈る気持ちは………一つではないんだから。
『好き』の気持ちだって、家族や恋人、友人と沢山あるよね。
先生の心からの感謝の気持ち……嬉しかったよ!」

そうだよ!

贈ってくれる気持ちで十分なんだ。

自分で自分に言い聞かせる。

オレに怯えてたのに……チョコだぞ!!

…………………………………………………………。

ふと気づくと……また自分の世界に飛び出した彼女。

「お~い、先生~」

「あっ!!すみません。ちょっと恋について考えてて……」

はぁ~??恋??

ちょっ!まさか、本当は好きな人が??

そう言えば…………

オレは『彼氏はいる?』って聞いたけど……

『好きな人』がいるかは………聞いてない。

彼女の性格なら、告白はありえない。

片思いの可能性は十分ある。

もしかして…

オレにしか渡してない……ではなくて

オレにしか渡せなかった??

本命チョコに悩んでる??

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