ひだまり
「足元大丈夫?」
連れて来たのは、小高い丘にある…………展望台。
ここはいつか二人で来れたらって思ってた所だ。
オレの大切な場所だから。
…………学生時代、オレは家を出て下宿していた。
デキの良い兄貴と、素直な弟に挟まれ……
一人で勝手に劣等感を持っていたオレは……早く社会に出ることばかり考えていた。
母親は、いつも笑顔で明るくて
親父は、頑固で曲がったことの嫌いな昔かたぎの男だが……
子供のやりたいことには何でもさせてくれる…ありがたい面もあった。
お陰で……高校を卒業するまで、大好きな野球に打ち込むことができた。
兄貴は…照れくさくて本人に言ったことはないけど……
オレにとって憧れの存在だ。
自分の守るべきものをちゃんと分かっていて、本当にスゴい。
弟とは、兄弟喧嘩はしょっちゅうだったが…
同じ野球小僧だったせいか……オレの後ろをくっついていた。
兄貴がいたから、お兄ちゃん子ではないけど……
何でもオレの真似をしたがった。
ごくごく普通の家庭。
特別な出来事もないけど………大きな不満がある訳でもない。
オレも小学校の低学年くらいまでは…学校であったことや友達のことを話していた。
それが……高学年を過ぎる頃から、話すのが億劫になり
『あぁ~』『いや……』『たぶん…』くらいで会話するようになっていた。
それからは…
自分だけが、家族から浮いた存在に感じて………居心地の悪さを覚え
高校卒業と同時に、この街に逃げるように来た。
大学は…家を出るために選んだようなものだった。
そんなオレが、この街で……沢山の人達に出会って……
時には孤独を感じたり、友達と熱くなる中で………色々な事を学んだ。
恋もしたし、失恋も経験した。
家族の大切さも……一人になって気づけるようになり
それから…………この展望台に上がるようになった。
ここから見る夜景は………それほどキレイではない。
でも、それがかえって……
それぞれの家庭の温もりを感じて……オレに安心を与えてくれた。
連れて来たのは、小高い丘にある…………展望台。
ここはいつか二人で来れたらって思ってた所だ。
オレの大切な場所だから。
…………学生時代、オレは家を出て下宿していた。
デキの良い兄貴と、素直な弟に挟まれ……
一人で勝手に劣等感を持っていたオレは……早く社会に出ることばかり考えていた。
母親は、いつも笑顔で明るくて
親父は、頑固で曲がったことの嫌いな昔かたぎの男だが……
子供のやりたいことには何でもさせてくれる…ありがたい面もあった。
お陰で……高校を卒業するまで、大好きな野球に打ち込むことができた。
兄貴は…照れくさくて本人に言ったことはないけど……
オレにとって憧れの存在だ。
自分の守るべきものをちゃんと分かっていて、本当にスゴい。
弟とは、兄弟喧嘩はしょっちゅうだったが…
同じ野球小僧だったせいか……オレの後ろをくっついていた。
兄貴がいたから、お兄ちゃん子ではないけど……
何でもオレの真似をしたがった。
ごくごく普通の家庭。
特別な出来事もないけど………大きな不満がある訳でもない。
オレも小学校の低学年くらいまでは…学校であったことや友達のことを話していた。
それが……高学年を過ぎる頃から、話すのが億劫になり
『あぁ~』『いや……』『たぶん…』くらいで会話するようになっていた。
それからは…
自分だけが、家族から浮いた存在に感じて………居心地の悪さを覚え
高校卒業と同時に、この街に逃げるように来た。
大学は…家を出るために選んだようなものだった。
そんなオレが、この街で……沢山の人達に出会って……
時には孤独を感じたり、友達と熱くなる中で………色々な事を学んだ。
恋もしたし、失恋も経験した。
家族の大切さも……一人になって気づけるようになり
それから…………この展望台に上がるようになった。
ここから見る夜景は………それほどキレイではない。
でも、それがかえって……
それぞれの家庭の温もりを感じて……オレに安心を与えてくれた。