ひだまり
「唯先生、大丈夫?」

「あっ…先生。あの…はい。……いえ……本当は…大丈夫ではないです。」

いつになく素直な言葉。

相当……不安なんだろうなぁ

いつもの彼女なら、どんなに不安でも……

絶対に『大丈夫です』と答えるのに……。

なんだか、野良ネコに逃げられなかった気分だ。

不安そうな表情の彼女を……純粋に笑顔にしてあげたくて

オレは…

今まで見せたことのないような笑顔を見せた。

「先生、笑顔、笑顔!
せっかくあんなに頑張ったんだろう。
憧れの先生、一日目だよ!楽しまないと。
誰にだって初めてはあるんだよ。四人だって…先輩だって…オレだって。
例え今日失敗したって…長い先生生活のスタートなんだから
気にしなくて大丈夫だよ。
初めての先生を楽しみな!!」

自分でも…何を必死にって思うほど……

沢山話した。

俯いていた顔が上がって………

ケンといっしょにいた時の笑顔で

「ありがとうございます。……頑張ってみます。」と呟いた。

それから直ぐに始まった式は…

あまり変わらない、シドロモドロの挨拶だったが……

とびきりの笑顔は…子供も保護者も魅了してた。
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