龍使いの歌姫 ~卵の章~
「………」
姉を知っている人がいたことに、レインは驚いた。
ティアナは、他の家族のことも友人のことも話さなかった。
一度だけ、何故父と母がいないのかを聞いたことがあったが、姉は悲しそうに目を伏せて答えなかった。
だから、それ以上は何も聞かなかった。
それに、レインもティアナとクックレオがいればいいと思っていたから、聞かなくていいと思ったのだ。
「君は、龍の谷に行こうとしていたみたいだけど、今はまだ早い」
「?何が?」
レオンの言っている意味が分からず、レインは首を傾げる。
「……龍が卵から生まれるのに、どれくらいかかると思う?」
「……」
レオンに尋ねられ、レインは首を振る。全く分からないのだ。
「早くて一年」
「!そんなに?!」
今日明日で生まれるものかと思っていたレインは、ギョッとした顔でレオンを見る。
だが、更に驚くことを言われた。
「ただし、竜の子供の場合はね。竜の寿命は短くて、五十年しか生きられないから、生まれるのも早い方。けれども、龍の谷にいるような龍は寿命が長いから、生まれるのも遅い。……約十年かかる」
「………」
開いた口が塞がらないというのは、こういう時に使うための言葉だろう。
レインはポカーンと口を開けていた。
「ああ、でも。この子は特別だから、後三年したら生まれると思うよ。今はまだ不完全だから」
「三年………」
一年でも長い、けれども十年はもっと長い。一年より長いと思うべきか、十年よりも短いと思うべきか。
レインは頭を抱えて唸る。出来れば、早めにどっちの種類か知りたいので、頭が痛くなる。
「……提案なんだけど」
「うー………え?」
頭を押さえ込んでいたレインに、レオンの柔らかな声が響く。
「その子が生まれるまで、ここに住まない?」
「……え?」
レインは再びポカーンと口を開けた。
姉を知っている人がいたことに、レインは驚いた。
ティアナは、他の家族のことも友人のことも話さなかった。
一度だけ、何故父と母がいないのかを聞いたことがあったが、姉は悲しそうに目を伏せて答えなかった。
だから、それ以上は何も聞かなかった。
それに、レインもティアナとクックレオがいればいいと思っていたから、聞かなくていいと思ったのだ。
「君は、龍の谷に行こうとしていたみたいだけど、今はまだ早い」
「?何が?」
レオンの言っている意味が分からず、レインは首を傾げる。
「……龍が卵から生まれるのに、どれくらいかかると思う?」
「……」
レオンに尋ねられ、レインは首を振る。全く分からないのだ。
「早くて一年」
「!そんなに?!」
今日明日で生まれるものかと思っていたレインは、ギョッとした顔でレオンを見る。
だが、更に驚くことを言われた。
「ただし、竜の子供の場合はね。竜の寿命は短くて、五十年しか生きられないから、生まれるのも早い方。けれども、龍の谷にいるような龍は寿命が長いから、生まれるのも遅い。……約十年かかる」
「………」
開いた口が塞がらないというのは、こういう時に使うための言葉だろう。
レインはポカーンと口を開けていた。
「ああ、でも。この子は特別だから、後三年したら生まれると思うよ。今はまだ不完全だから」
「三年………」
一年でも長い、けれども十年はもっと長い。一年より長いと思うべきか、十年よりも短いと思うべきか。
レインは頭を抱えて唸る。出来れば、早めにどっちの種類か知りたいので、頭が痛くなる。
「……提案なんだけど」
「うー………え?」
頭を押さえ込んでいたレインに、レオンの柔らかな声が響く。
「その子が生まれるまで、ここに住まない?」
「……え?」
レインは再びポカーンと口を開けた。