金持ち犬系後輩に求婚ープロポーズーされました。

悪夢の予感

あれから時計を確認したら遅刻しそうだったので
私も急いで学校へ向かい、教室へとたどり着いた。

「おはようございます…」

朝だと言うのになんかどっと疲れたぞ。

「おーっす氷雨!遅刻ギリギリなんて珍しいじゃーん!」

彼女は霧山奏芽。小学校からの付き合いで、

いわゆる幼馴染というやつだ。

明るく活発な性格でスポーツ万能。男女共に人気がアツい。

…勉強の方は残念だがな。

「奏芽…いや、朝からとんでもない奴に引き止められてな。」

犬みたいなやつ。私は犬よりも猫派なのだが。

まぁ、関係ないか。


「あー、なんか凄かったらしいね。通学路で会った途端プロポーズされたとかなんとか。」

「なっ!何故知っているんだ!」

心臓出るかと思った。

「なぜって、そりゃウワサになってるからでしょ。依咲里学園が誇る絶世の美女が入学したての男の子に求婚されてた!ってさ。」

「なんだその噂。盛ってないか?私は決して美女なんかではないぞ。ルックスならお前の方が上だろ。」

絶世の美女って何だ。安売りするような言葉ではないだろ。大袈裟な。

てか依咲里学園が誇るって、この学園にはもっと可愛い子が居るだろ。奏芽とか。

奏芽は、手入れのいき通っている長くて綺麗な黒髪をサイドテールにしていて愛らしい。

女子力はお世辞にもあるとは言い難いが、見た目を気にして髪や肌の手入れは入念にしてあるからな。

その点私は、めんどくさいので手入れは全くしていないし、髪はハーフアップにしているだけ。

切るのもめんどくさくて、中学二年以降、ずっと伸ばしている。

化粧なんて以ての外だな。めんどくさい。


「それは嫌味?嫌味なのね?そうでしょ。ん?」

ほっぺたをつままれてすごく痛いぞ。

「ふぁふぁふぃふぇふへ。(離してくれ。)」

「…ふんっ。こんなにもっちりとしてすべすべの白い肌持ってる上に黒髪だってツヤサラなくせに〜!嫌味の他に何があるって言うの〜! 」

「んむぅ〜……んん…いひゃい。(痛い。)」

やっと離してくれた……馬鹿力め。凄く痛かったぞ。

「お前だって、肌や髪は大切にしているから綺麗だろう。それに紫色の瞳も、私は好きだぞ。」

そう言うと何故か奏芽は顔を赤くした。

…何故だ?

「っそ、そんなこと言ったって何も出ないわよ!!因みに言うと、私も…アンタの水色の瞳…透き通ってて好きよ…」

最後の方はボソボソ言っててあまり聞こえなかったが、褒めてくれてるのは顔を見てなんとなくわかったので、ありがとうと言っておいた。

相も変わらず私の幼馴染は可愛いな。
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