隣 の セ ン セ イ 。
凌介「───で、
どうしたの」
雨音「…どうしたの、って言われても…」
凌介「困る?」
少し間を開けて、すこしだけ頷いてみた。
5月下旬。
梅雨入り前の生温かい風が、私達の間をすり抜けていった。
凌介「一人で抱えるよりは、俺に分けたほうが楽じゃない?」
雨音「…どう、話したらいいのかわからないので…」
凌介「考えるな、ぶちまけろ」
雨音「……」
凌介「ゆっくりでいいから。ちゃんと聞くから。」
雨音「……、彼氏……あ、元カレ、に
騙されてて…」
凌介「うん」
紡木さんは、
驚くほど静かに
私のつたない言葉で紡ぐ話を聞いてくれた。
────
凌介「そっか……
じゃあ浮気はされてなかったんだ?」
雨音「……はい、」
凌介「…桜井さんは、その彼…元カレに騙されたって言ってるけど、
きっとその人なりの優しさだったんじゃないかなー。
…俺だったら、そう思う。」
雨音「優しさって…」
凌介「いや、ほんとの気持ちは本人にしかわからないよ?
でも、騙されたってマイナスに考えるんじゃなくて
自分のことを考えてくれたんだなって
そう思うかな。
ましてや、その人は桜井さんのことをよく知ってる。
だったら、
プラスに考えたほうが良くない?」
私の気持ちが分からないから、
そんなこと言えるんだ。
大切な人に騙されて、
浮気より辛い。
それならいっそ、付き合っててくれればよかったのに。
凌介「俺は桜井さんの気持ちを分かってあげられない?」
雨音「え…」
凌介「…知り合ってまだ数日だもんね。
俺もさ、彼女いるんだけどさ、」
まるで当たり前のように言われた。
彼女、いたんだ、紡木さん……。
凌介「最近良く、ある人の話をするの。
俺じゃない、他の男の人。
最初はもちろん知ってたけど、
彼女が一番思ってくれてるのは俺だって知ってるから、
なんていうのかな、……ううん、、」
言葉を詰まらせた紡木さん。
きっと彼なりに私を慰めようとしてくれているんだろうけど。
私には彼の言葉が、
やっぱり何も分からない人の話にしか聞こえなかった。
どうしたの」
雨音「…どうしたの、って言われても…」
凌介「困る?」
少し間を開けて、すこしだけ頷いてみた。
5月下旬。
梅雨入り前の生温かい風が、私達の間をすり抜けていった。
凌介「一人で抱えるよりは、俺に分けたほうが楽じゃない?」
雨音「…どう、話したらいいのかわからないので…」
凌介「考えるな、ぶちまけろ」
雨音「……」
凌介「ゆっくりでいいから。ちゃんと聞くから。」
雨音「……、彼氏……あ、元カレ、に
騙されてて…」
凌介「うん」
紡木さんは、
驚くほど静かに
私のつたない言葉で紡ぐ話を聞いてくれた。
────
凌介「そっか……
じゃあ浮気はされてなかったんだ?」
雨音「……はい、」
凌介「…桜井さんは、その彼…元カレに騙されたって言ってるけど、
きっとその人なりの優しさだったんじゃないかなー。
…俺だったら、そう思う。」
雨音「優しさって…」
凌介「いや、ほんとの気持ちは本人にしかわからないよ?
でも、騙されたってマイナスに考えるんじゃなくて
自分のことを考えてくれたんだなって
そう思うかな。
ましてや、その人は桜井さんのことをよく知ってる。
だったら、
プラスに考えたほうが良くない?」
私の気持ちが分からないから、
そんなこと言えるんだ。
大切な人に騙されて、
浮気より辛い。
それならいっそ、付き合っててくれればよかったのに。
凌介「俺は桜井さんの気持ちを分かってあげられない?」
雨音「え…」
凌介「…知り合ってまだ数日だもんね。
俺もさ、彼女いるんだけどさ、」
まるで当たり前のように言われた。
彼女、いたんだ、紡木さん……。
凌介「最近良く、ある人の話をするの。
俺じゃない、他の男の人。
最初はもちろん知ってたけど、
彼女が一番思ってくれてるのは俺だって知ってるから、
なんていうのかな、……ううん、、」
言葉を詰まらせた紡木さん。
きっと彼なりに私を慰めようとしてくれているんだろうけど。
私には彼の言葉が、
やっぱり何も分からない人の話にしか聞こえなかった。