イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる

……トオルの本音



「トオルさん、今日はやけに早いですね」


“EOC”の朝は、こういう感じでいつも人がいない。
出勤時間が決まっているわけでもないから、しょうがない事だけど。

一応、俺は、“EOC”東京支社のリーダーみたいな仕事を任されている。
ここにいる連中は、とにかくマイペースの自由人が多いため、社長のソフィアがその中ではまともらしい俺をそういう役職に任命した。

超一流外資系企業に雇われている変人の集まりのこの東京支社の人間は、俺がまとめなくてもそれぞれで必要以上の仕事をこなし、何を言わなくてもその先の成果と実績まで上げてくれた。

バイトの明智君はそう言いながら、俺にコーヒーを淹れて持って来てくれた。

この間、久しぶりに事務で採用された女子職員が、“EOC”一番と言っても過言じゃない変人の伊東凪に捕まったのか騙されたのか、凪を追いかけてニューヨークへ行ってしまった。

その補充人員として、明智君は倍率100倍の難関を突破して、この“EOC”のバイトを勝ち取り今ここに居る。


「明智君さ~、ニューヨークを拠点とするファッションブランドの“ジェイクハミルトン”って知ってる?」



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