イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
加恋を悩ます最重要な秘密
「で、加恋はどうしたいの?」
私は今、所属するモデル事務所で社長と話している。
社長は気難しい顔をして頭を抱え込み、すがるような目で私を見た。
「トオルさんは、何て言ってました…?」
社長の疲労困憊度を見ると、トオルさんの条件はかなり厳しいものだったようだ。
「あんまり詳しくは言えないけど、旦那さんはこのビッグチャンスにあまり乗り気じゃなさそうだな」
私は肩をすくめて頷いた。
「加恋次第だ。
渡米まで一か月近くあるから、もう一度よく考えて。
でも、準備を始めておくこと。
体重管理とトレーニングは専門のトレーナーをつけるから」
私はまた肩をすくめた。
「あ、あの社長、それもトオルさんに伝えましたか…?」
社長は嫌な予感がしたのか眉をしかめて首を横に振った。
「…分かりました。
それは、私の方から伝えておきます。
トレーナーさんは、いつもの町田さんですよね?」
社長は眉をしかめたまま頷いた。