イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
それにトオルさんが…
あ~、私の料理を作る楽しみを奪ってしまう事になる。
いや、それよりも、町田さんの存在を消してしまうかもしれない…
この一か月間は、私の生活全てを管理するのは町田さんになってしまうから。
気分悪くなってきた…
私はトイレに駆け込んだ。
ストレスがたまるとこうなってしまうのはいつもの事。
でも、このストレスはとてつもなく厄介で強力だった。
私はトオルさんの会社が入る超高層ビルの前に立っている。
トオルさんと夜の銀座を散歩しながら、例の話を切り出したいと思っていた。
人混みだったら、きっとさりげなく平然と話せると思ったから。
そして、トオルさんも、とりあえず冷静に最後まで聞いてくれるはず…
「トオルさん、もう仕事終わりそう?
今、トオルさんの会社のビルのエントランスに来てま~す」
私はそうメッセージを送ると、その超豪華なエントランスの隅っこで人間観察をする事にした。
どういう人達が働いているのだろう?
前を横切る人達のセレブ感が半端ない。