イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる


それからしばらくブラブラして時間を潰した。

このビルに入っているブランドは超高級過ぎて見るだけでお腹いっぱいになる。

私はモデルの仕事はしているけれど、高級品が好きなわけではない。
お気に入りの洋服なんて、ネットで買った3980円の水色のワイピースだったりするから。

そして、私はまたエントランスに下りてきた。

上の階がホテルになっているため、エントランスにいる外国人の数が多過ぎる。
私は世界でも超一流の人々が集まるこの空間に居心地の悪さを感じていた。

これから、超一流のモデルが集う登竜門へ足を踏み入れようとしているのに、この拒否感にちょっとげんなりする。

私、本当にやっていけるのかな…




「加恋ちゃん、待った?」


あ~、やっとトオルさんが来てくれた。

私はトオルさんの腕に抱きつきたかったけど、人前という事で我慢をした。
でも、最高の笑顔でトオルさんを出迎える。

トオルさんはキョロキョロ辺りを気にしながら私の腰を抱き寄せ、そそくさとビルの外へ出た。
外へ出るとすぐに私の右手に左手を絡め、大通りを颯爽と歩き出す。




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