イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
「トオルさん、あのね、私、トオルさんの職場の人に会ったの」
トオルさんは瞬時に機嫌の悪い顔になった。
そして、私の肩を強く抱き寄せると、わざとらしくため息をつく。
「二人ともすごく素敵な人でびっくりしちゃった」
トオルさんは疲れたような表情で私を覗きこむ。
「EOCにはあんな奴しかいない。
見た目は超クールでイケメン揃い、それでいて、中身は世界で活躍するほどの頭脳明晰、切れ者揃い。
ま、学歴の最低レベルが東大だから」
私は映司さんや明智君の顔を浮かんできて、二人の情報が知りたくなった。
だけど、聞くのはやめた。
だって、トオルさんの不機嫌な理由は、きっとあの二人の事みたいだから。
私は自分の本題を思い出した。
こんなところでトオルさんの機嫌を損ねてはダメ。
私は甘えるようにトオルさんの腕に絡み付く。
「でも、加恋ちゃんがこんな所に来るなんて、どうしたの?
何かあった?」
「トオルさんに急に会いたくなって…」
それは本当の気持ち…
色々と相談に乗ってほしい、うん、それも本当の気持ち…