イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
トオルさんは私の事が好きで好きでたまらない。
そのせいで、私より12歳も年上なのに、何でもすぐ顔に出る。
今だって、5歳の男の子みたいに口をへの字に結んで泣きそうになっている。
「明智君はいい奴だよ…
でも、寧々ちゃん、俺の前であいつの話はタブーだから。
あいつが寧々ちゃんと歳が近いっていうだけで、何だか凄い敗北感に苛まれる。
ごめんな…
こんな小っちゃい男で…」
私はそんなトオルさんが可愛くてたまらなくて、また腕に絡み付いた。
表の顔はイケメンエリートのくせに、私に見せる顔は甘々のチョコレートみたいなトオルさん…
このギャップに私の胸は数千回キュンキュンした。
そして、そのビルの屋上にあるオアシスは、私達を異国の世界へと導いた。
完全に英国風庭園を再現していて、色とりどりの美しい花々に濃い緑色のカーテン、そして木々で作られたアーチ状のトンネルは、私の心を鷲掴みにした。
そして、それ以上に私の心をとらえたのは、その庭園の真ん中に建てられたレンガ造りの可愛らしいカフェから漂ってくる甘いスィーツの香りだった。