イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
紅茶を飲みながら外を眺めていたトオルさんは、ちょっとだけ疑うような目で私を見た。
今度は何の告白が始まるの~?みたいな、頭を抱え込むように大げさなジェスチャーをして私を笑わせる。
「加恋ちゃん、俺が嫌がる事? もしくは傷つく事?」
私は正直に素直に「はい!」と答えた。
「はい!って…」
私はトオルさんの表情に惑わされないようにトオルさんを直視する事なく、伝えたい事を箇条書き風に一気に話した。
渡米するまでの一か月近く、専属のトレーナーが付いて私の体づくりをする事。
食事も生活のリズムもそのトレーナーの作成するメニュー通りにする事。
そのほか、エトセトラ…
エトセトラは、トオルさんの顔が怖くて小さな声で言った内容。
多分、トオルさんの耳にはちゃんと入っていない事柄。
ほら、やっぱりトオルさんは怖い顔で私をジッと見ている。
そんな風に睨まれたら、町田トレーナーの人となりを話す事なんて絶対できない。
だって、怖すぎるんだもん…
「そのトレーナーは女の人…?」
ほら、来た…
トオルさんの目はその一筋の望みを期待している。