イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
「マジで、妊娠したのか?」
町田トレーナーは困った顔で私を見た。
私はとりあえず首を横に振る。
「まだ分かりません…
でも、吐き気とか中々治らなくて、それに貧血みたいな症状もあまりない人間なのに頻繁にあって…
それが、妊娠なのかは分からないけど…」
「生理はどうなんだ?」
「へ?」
イケメンで誰に対してもスマートな町田トレーナーの口から飛び出した妊娠という二文字に、鈍い私は今さらながら驚いて恥ずかしくなった。
でも、町田トレーナーは、真剣な顔で私の返事を待っている。
「来てないです…
あ、でも、私、元々生理不順なんです。
こんな事よくある事で、だからあまり気にしてなくて」
って、私は男盛りのイケメンマッチョに何を話してるのやら。
「どれ位、来てないんだ?」
まだ続けますか? 生理の話…
「あ、その、う~ん…
二か月以上くらい…?」
困った時に出てしまう私の悪い癖…
疑問符、要らないですよね…
すると、町田トレーナーは内線電話を使って誰かに電話をした。
「あ、ミキちゃん?
悪いんだけどさ、あの妊娠検査薬って、まだ残ってたっけ?」