イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
トオルさんは遠慮もなく私のバッグからその紙袋を取り出した。
そして、その勢いのまま紙袋を開けてみる。
開けてはみたけれど、何が何だか分からないトオルさんは、その長細い箱を紙袋から丁寧に取り出してテーブルの上にとりあえず置いてみた。
「…え?? は?
ちょっと、待って… これって?
え~~~~」
その長細い箱には、小さいけれど妊娠検査薬と書いてある。
そして、トオルさんはコントのようにその小さな箱を二度見して、大きくため息をついて頭を掻きむしった。
私はそのトオルさんの行動に涙が増々止まらない。
…やっぱり、子供はまだほしくないんだ。
「か、加恋ちゃん、ごめんな…
ちょっと質問していい?
加恋ちゃんの具合が悪かった原因って、妊娠だったのか?」
私は力なく首を横に振った。
そして、涙を拭ってトオルさんを見る。
「まだ、分からない…
でも、町田トレーナーがその可能性もあるんだから、検査をしなさいって」
すると、トオルさんはその長細い箱をゆっくり開けて、その本体を私に持たせた。
「検査するんだ。
俺は、ここしばらく加恋ちゃんの体調がすぐれない事が心配で心配で、夜も眠れなかった。
とにかく原因を知りたい。
それで、妊娠じゃなかったら、このまま病院に行こう」