ココロに、響く声。
第1章 

私の一番、ツラいこと

_桜の花びらが、ヒラリと目の前を落ちてきた。

それは、学校の校門を過ぎたときだった。

今日も、当たり前じゃない一日が過ぎていくんだろうな、と思う。

『おはよー!』

そんな風に、周りの皆は挨拶を交わしている。

私には、そう言える人がいない。

どこにも、いないんだ。

私の横を追い抜かしていく人はいるけれど、横で喋る人はいない。

前にも、後ろにも。

でも、そんなの知ってる。

ずっと前からそうだったから。

もう、こんなの慣れている。

なのに、“友達”という人を恋しく思ってしまうのは…いけないことだろうか。

『きりーつ』
『れーい』

ガタガタとイスが床に擦れる音がする。

一時間目の授業が始まろうとしていた。

『%@#?&>+/@……』

うーん、今先生は何て言ったんだろ。

何にも分かんなかった…。

キョロキョロと周りを見て、皆の様子を伺う。

すると鞄から数学の宿題を出しているのが見えた。

なるほど、それか。

そういえばちゃんとやってきたっけなー…

私も、慌てて宿題を机の上に出す。

ホッ…全部終わってた…

でも最近めっちゃ難しくなってるんだよね…。

教科書読むだけじゃ理解できなかったもん。

だから今回の私の宿題は×だらけだ。

もうそろそろテストも近いし、頑張らないとな……。

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