誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「プッ……フフッ……嘘だろ……クククッ……」
全てを洗いざらい告白するまでもなかった。
瑞樹は架空の友人が、雰囲気に流されるようにして、知人女性と一夜を共にしたはいいが、その後、告白するにいたらず、なんとかルームシェアにまでこぎつけたが、結局距離を感じて、焦っていると言うところまで聞いて、完全に噴き出してしまった。
なんと、美しい、切れ長の目の端に涙まで浮かべている。
「笑うなよ……かわいそうだろ……知人男性が」
「ふふっ、そうだな……ああ、哀れに過ぎる」
瑞樹は唇を尖らせる閑を見て、本当に楽しそうな笑顔になり、そして「だが簡単な話だな」と、あっさりと言い放った。
「えっ、なんで?」
「その知人男性は、臆病なチキン野郎だ」
「えっ!?」
まさかチキンと言われると思わなかった閑は、目を大きく見開く。
「だが、そうだろう。好きなくせに好きと言わない。欲しいくせに欲しいと言わない。曖昧な態度で、相手の空気を読むだけで、答えを聞こうとしない。それで勝手にもうだめに違いないと、自分の未来を決めている。これをチキンと言わずに何とする」