誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「相変わらず、唐突なやつだな……」

 閑は苦笑しながら、グラスをゆらゆらと回す。

 けれど一方で、瑞樹のその自由さが好きで、自分はいまだに彼と付き合っているのだとも思う。

「いい子になるなかぁ……久しぶりに言われたな」

 その時々、意識していようがいまいが、いい子ちゃんな性格をしていることは、自覚している。

 だがそのことを指摘してきたのは、今まで両親、それに兄たちと、瑞樹を含めた、親友ふたりだけだ。

 学生の頃は、瑞樹ともうひとり、大手飲料水メーカーの御曹司がいて、閑と学園のスリートップと呼ばれていた。
 それぞれあまりにもキャラクターが違い過ぎて、閑は周囲がいうほどライバルだとは思っていなかった。むしろ、自分以外のふたりが強烈だったので、閑はふたりの間に入って、仲裁役のようなことを勤めていたと思う。

 結局、【昨日の敵は今日の友】というような、腐れ縁が続き、気が付けば仲のいい幼馴染グループと化していた。


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