誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
弁護士の告白
「はぁ……」
気が付けば時間は、深夜一時を回っている。
小春は、ダイニングテーブルで、ひとりお茶を飲みながら、深いため息をついた。
今朝――正確には昨日の朝ということになるだろうが、小春は閑に、『無理して早く帰ってこなくていい』という提案をした。なぜなら閑が、毎晩遅くまで自室で仕事をしていることに、気が付いたからだ。
最初の数日は、廊下を出た正面の部屋に、閑の気配を感じることにささいな幸せを感じていた小春だが、こうも毎晩だと、閑の邪魔になっているのではと、心配になってしまった。
(仕事は職場でするのが一番効率がいいに決まってる。持ち帰っているのは、私がこの部屋にいるせいだ……)
一緒に住むまで、小春の引っ越し先のセキュリティにうるさかった閑のことだから、この推測は間違っていないと小春は思っている。
自分にぽやーっとしたところがあるから、一緒に住んでも彼を心配させているのだろう。
そう言ったとき、閑は「ああ……うん」と、あいまいな返事をしたが、結局今日は帰りが遅いので、自分の推測が正しかったということになる。