誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「ありがとう。でも別に仕事してなくて……。今朝言われたことを考えながら、ちょっと外で飲んでたんだ」
「今朝のこと……」
「うん」
そして閑は、自分のあご先を指でつまみながら、少し思案顔になった。
「とりあえず、お茶でも飲みながら話そうか。大丈夫?」
「はい」
いったいなにを言われるのだろうか。
(今朝のこと……? もしかして、出て行ってほしいって言われるとか?)
閑のためを思えば、そのほうがいいかもしれない。
だが、突然すぎて、頭が働かない。
小春の体は緊張で強張ったが、閑はふっと笑って、そんな小春の顔を覗き込む。
「そんなに緊張しないで」
「わっ……わかりますか?」
「そういう顔したから……って、俺がわかるのはそこまでで、どうしてそんな顔をしたかは、わからない。うん……俺の悪いところって、ここで『こうだろう』って答えを出してしまうからなんだよなぁ……」
閑はうんうんと納得したようにうなずきながら、小春と一緒にダイニングへと向かった。