誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「俺の部屋を掃除してたのは、知り合いの女の子なんだ。二十歳の女の子。一年前からやってもらってる」
「――っ」

 強張る手をギュッと膝の上で握りしめる。

 当然、閑がこれほど言いにくそうにしていたから、そういう答えが返ってくるのはわかっていた。

(部屋の掃除をする女の子……)

「そうですか……わかりました」

 小春はかすれた声で、そう言うと、椅子からゆっくりと立ち上がった。

 ギギギ、と椅子が音を立てる。

(わかったって……なにが?)

 本当に、なにがわかったか自分でもよくわからない。

 ただこの場にいたくなかった。それだけだ。

「小春ちゃん、待って。まだ話は終わってないから」

 閑は、椅子に座ったまま落ち着いた声で声を掛けてくるが、小春は唇をわななかせる。

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